NO58 有山 じゅんじ

CD thinkin’ of you
IMPRESSION 5つの赤い風船、サウスツーサウスのメンバーを経て、他アーティストのサポートやソロ活動を行っている。
今風のフィンガースタイルギタリストとは違う、ブラインド・ブレイクの直系とも言うべき生粋のブルースフィンガーピッカーだ。

彼もブルースフィンガーギタリストの多くがそうであるように爪を伸ばさないスタイルだが、これはそういった奏法特有でもあるのだが、弦を引っ張る形になり、弦がフレットに当たる音がして、ややもすると荒っぽい音に聴こえたりするのものだ。(これがこのスタイルではむしろ味といえるのだが)彼の場合はそのリズムとフィンガリングが正確で、とても美しい音を奏でるのが特徴でもある。

また、演奏中常にベース音がリズムを刻んでおり、グルーブを生み出しているのも特徴といえるだろう。簡単にみえてもなかなか真似できるものではない。
そしてこれはインストのソロとしてより、歌の伴奏でより威力が発揮される。
軽快で力強く歌に寄り添うような伴奏は存在感大だ。

彼の作品はその長いキャリアにしてはさほど多くないが、昨今のアコギブームの影響からか、ギター一本で制作したのが本作。
もっとも彼自身は不要なものを省いたらたまたまこうなったというようなことを言っているようだが。

いづれにしても彼のギタリストとしての力量をあらためて示すことになるような作品で(ソングライターとしてもだ!)、2曲の無伴奏ソロのほかはいわゆる歌ものだが、私のような中年にはぐっとくるようなせつなくも優しい歌詞とあいまって一気に惹きこまれていく。

ただ、今までインタビューなどで知っていた彼とはちょっと違った一面も見える。ボーカルも歌詞も、もちろん演奏もそして録音も全て出来過ぎているように感じるのだ。誤解を恐れずに言うと、ちょっと完璧主義的な出来栄えで、彼の敬愛する戦前のブルースのイメージとはちょっと違っているなと。
これは彼流のジャパニーズブルースに昇華させたものと解釈したい。

ともかくこの作品は非常に優れた作品であり、時代のシーンに流されず、自分なりの道をしっかり歩みつづけた彼の等身大の姿といえるだろう。
(06.12.10)

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