NO34 ドイル・ダイクス Doyle Dykes

CD H.E.A.T
IMPRESSION テイラーギターのクリニシャンとしても知られる彼は、ナッシュルビル最速などとも呼ばれる屈指のテクニシャンである。という割にあまり日本では知られてなかったのだが、近年何度かの来日をはたし、雑誌などでも取り上げられる回数が増え、その名を急速に広めていっている感がある。

彼のライブを見れば誰もが驚かずにはいられないだろう。私はネット配信の映像で彼のクリニックの模様を見たのだが、早弾きを観客の前で何度もやって見せるなど、笑っちゃうほど凄い。私は英語が余り分からないので残念なのだが、観客からの笑い声も絶えず、MCの方もなかなかだのようだ。そういう意味ではトミー・エマニュエルなんかにちょっと近いかも。両人ともチェット・アトキンスの後継者などと呼ばれているし。ただし、彼はサムピックを使用しているが、ほとんどフィンガーピッキングのみである。

彼のアイデンティティーを決定づけるのはややエレキっぽい音そのものと、やはり早弾きになるだろう。
彼の使用する楽器はもちろんテイラー社製のギターだが、彼に限らず、音にこだわって作りこんでいくアーティストは結果的に生音からは遠ざかった音作りなっているような気がする。ライブでのコントロールのしやすさなどもあるのだろうが、ちょっと私としては残念である。
彼の音も機械的な音に聴こえる。それがだだでさえ衝撃的な彼のテクニックと合わさるとより攻撃的というか破壊的に聴こえてしまう。(決して演奏が荒々しいとかいうことではないし、惹きこまれていくような美しい曲もあくさんある。)

多分同じような奏法であろうが、ピーター・フィンガーが金属製のフィンガーピックが擦れる音がしてやや冷たく感じるのと正反対である。
その点ではトミー・エマニュエルはウォームな印象であり、安心感があったりする。もちろんこれは全く個人的な意見であり、聴く者によって印象は変わってくるだろうが。

ちなみにトミーはサムピックないし、フラットピックで早弾きを行うが、ピーターやドイルは親指と人差し指と中指を使って開放弦を使いながらロール奏法のような弾き方で早弾きしている(と思う)。
クラッシックギタリストやフラメンコギタリストの場合は人差し指と中指(もしくは薬指も)で弾くのだが、スチール弦使用のギタリストの場合はロール奏法で早いパッセージに対応する場合がほとんどのようだ。

さて、CDの入手はこれだけのアーティストであってもネット通販以外では難しそうだが、「HEAT」を推薦してみる。

全編ギター一本で作られており(リイシュー盤にはエレキギターを使用しているものがあるが)彼のテクニックだけでなくメロディーメーカとしてのセンスも十分伝わってくる。

確かに早弾きも凄いし、トレモロしながらハーモニクスを弾くなど超絶テクニックから耳をそらすことはできないが、「LOVING RITA」や「THE VISITATION」などのように美しいメロディーが聴けるものもあり純粋なアコギインスト作品として好盤である。

私は無条件にテクニシャンが大好きである。ただし、タブ譜付きCDも出ているようだが、これだけには手を出そうという気にはなれない。
(06.04.05)

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