NO55 フランコ・モローネ FRANCO MORONE

CD The South Wind
IMPRESSION イタリア出身の’56年生まれのアコギスト。

日本ではイタリア人アコギストというのはあまり紹介されていないので、ガットによるカンツォーネっぽい演奏なのかな、などと勝手に想像していたのだが、スチール弦使用のアイリッシュトラッドが中心の正統派アコギストであった。

また、ステファン・グロスマンに影響を受けたと言っているようだが、聴いた限りその影響はほとんどないように思える。やわらかく温かみのあるタッチはステファン譲りともいえなくもないが。

私は元々アイリッシュを日ごろより好んで聴いているのだがフランコの音楽にもかなりはまってしまった。

私事ながら、今年春に引越しする際、テレビ等の電化製品のなくなったがらんとした部屋で1ヶ月ほど過ごした時、よく聴いていた。
特段気落ちしていたなどということはなかったのだが、何もない部屋で過ごしている時、アイリッシュのノスタルジックな響きと彼のやさしいタッチに妙に癒され何度も繰り返し聴いたものだ。

以来私は彼の作品をせっせと集めているが、どれも丁寧に作られた良質のアコギインストで気に入っていないものはない。
奇をてらわない基本に忠実なアレンジであるが、どの曲もしっかりフランコ節になっている。

そんな彼の作品を一つ選ぶことは私には難しいのだが、初めて聴いた表題作としたい。

美しいメロディと優れたアレンジをそこなわない素晴らしいギターの音(テイラーギターのようだ)、そして何より弾き手の暖かく穏やかな人柄が表れたような作品である。(もちろん本当の性格を私が知る由もないが)

この作品のラストを飾る「Danny Boy」はよく知られた曲だが、シンプルだが、まるで歌っているような演奏に、この曲の歌詞を浮かべながら聴いていると、いまだに涙腺が緩んでしまう。

私はどんなジャンルであれテクニシャンが無条件に好きだ。
だが、それをずっと聴いていられるか、感動するかというと別問題。
彼も有数のテクニシャンの一人ではあろうが、フランコ・モローネは音数が少なくても、スローテンポの曲であっても超絶技巧など使用しなくても、人に感動を与えることができる数少ないギタリストであると思う。
(06.10.09)

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