NO40 ガイ・ヴァン・デューサー(Guy Van Duser)

CD Stride Guitar
IMPRESSION ガットギターを使うフィンガーピッキングの凄腕ギタリスト。
ジャズやラグタイムなどピアノの曲をアレンジしたものが多く、それだけにどの曲もかなり難易度が高い。ピアノの曲をギターにアレンジした場合、音数や音域の問題があって、かなりの使い手が弾いても、その苦労を感じ取れてしまうものだが、そんな難曲も彼の手にかかるとスムーズそのもので、全く無理を感じない。

また、ガットギターの音も素晴らしい。ナイロン弦で美しく響かせるギタリストは多いものだが、私の中でガットといえば、この音になる。クラッシックともボッサとも違うほどよさで私にはとても心地よく感じる。

が、残念ながら、彼のギターソロ作品は意外に少ない。その多くが、クラリネット奏者のビリー・ノヴィックとのデュオだったりする。それはそれでいいのだけれど、どうしても管楽器とギターだと音量や音圧感に差があって、どうもしっくりこない。たくさんある中の1曲という程度ならいいのだが・・・・。

それと近年の活動があまり聞こえてこない。たまにギター雑誌なんかで見かけたりもするが、ネットで探しても最近の活動についてはあまり検索に乗ってこない。新作を出したとの噂も耳にしたのだけれど・・・。

ともかく、そんな彼のギターの音と、テクニックを一番よく伝えているのが、上記の「Stride Guitar」ではないだろうか。クラリネットのデュエットも数曲あるものの、大半がギター一本による無伴奏ソロ。近年のリイシューで簡単に手にも入る。

まさに職人芸で、特に右手の自在なコントロールは流麗そのもの。難曲をそう感じさせないのは音を伸ばしたりミュートしたりするタイミングが絶妙だから。そして、早弾きも彼の得意技で、一音一音しっかりと聴こえてきて、見事としかいいようがない。

おいそれとコピーできるようなものではないのだが、私は聴いているだけでも幸せな気分に浸れる。テクニックに楽曲のよさ、そしてなんといっても繊細で流れるようなタッチで紡ぐギターの音そのものが心に響く。1981年の作のようだが、なんだかその頃の空気も伝わってくるような懐かしさを感じたりもする。

考えてみれば、四分の1世紀も前にこんな凄腕のギタリストがこんな作品を残していたかと思えばもうそれだけで驚きだし、その頃の日本のアコギ界の状況を考えればなおさらである。もちろんアコギでのインストが定着し、大勢のギタリストがでてきた今でも彼のテクニックや音楽性は追随を許さないが。
(06.02.21)

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