NO51 浜田 隆史

CD CLIMAX RAG
IMPRESSION 19世紀末にアメリカで生まれた黒人ピアノ音楽であるクラッシックラグタイムをギターで演奏し、異彩を放つギタリスト。
普段は北海道の小樽の路上でライブ活動を行っているというのもユニークである。

実は私は彼の音楽を聴く前から、彼のHPを見てすっかりファンになってしまっていた。彼のHPには音楽活動が克明に記されており、ユーモアたっぷりの文章で読み応え十分。かなり楽しませてもらえる。
音楽以外にも回文のコーナーがあったり、彼のもう一つの顔であるアイヌ語の研究などもあって、かなりのボリュームである。
もちろん今も不定期ながら頻繁に更新されている。

彼の音楽のことだが、初めて聴いた時はちょっとした衝撃だった。
内田十紀夫氏のコメントなどで凄いとは聞いていたが、それが営業トークでないことが一聴して分かる。プロも驚くギタリストなのである。

そもそピアノ音楽をギターで表現するのはそれを忠実に使用とするほど困難をともなう。それを彼は極めて無理を感じさせないでいて、ピアノのダイナミズムまでもギターでできうる極限に近い形で再現して見せている。実際に弾いてみると、聴いているよりははるかに難しいことをやっているはずだ。
日本のフィンガーピッカーには珍しくミディアムゲージを使用していることもあるだろうが、このテンションでチョーキングなどもこともなげにこなしているのだからちょっと日本人離れした奏法でもある。

冒頭にあるように一年の半分を地元小樽の路上ライブを今も行っているだけあって、ギターを弾いて来た時間の長さが彼のテクニックを形成してきたことは間違いないだろう。

また、日本のフィンガーピッカーとしては営業上の事情もあるかもしれないが、珍しい多作家である。クラッシックラグタイムのアレンジだけでなく、自作のオリジナルも多い。ライブCDやオムニバスCDの制作から、なんと歌モノまであったりする。
とにかく制作意欲が旺盛で、HP上に見られる多彩な趣味も含めて生来の制作家である。

推薦作品は彼の代表作でもあり、自身のアレンジにより彼がこよなく愛するクラシックラグタイムを集めた快作である。二曲のオリジナルラグタイムも含んでいて、ラグタイムを知らない人でも「エンターテイナー」や「第三の男」なども入っていて、分かり易く楽しい作品に仕上がっている。

左手も右手もこれでもか言うほど動き回っている。そして、路上の演奏活動で必要に迫られて身に付けたと思われる強力なピッキング!しかも音量のコントロールも実に上手い。

ピッキングが余りに強いため、多少荒々しく感じる人もいると思うが、彼は決して力任せにギターを弾くタイプではない。ラグタイム以外のスローな曲を聴けば繊細なピッキングもできるギタリストであると納得してもらえるだろう。

もし「クライマックス・ラグ」を聞いて気に入った方は、オリジナルを中心にしたもう一つの代表作「OLION」に進んでもらいたい。
こちらは完全自主制作盤で、音質などは「クライマックス・ラグ」に劣るものの、恐らくこちらの方が彼の路上ライブに近い演奏であろう。奔放で迫力の演奏が聴ける。

最後にオリジナル曲も素晴らしく、彼のメロディーメーカーとしての才も非凡であることを付け加えておこう。
(06.08.06)

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