NO17 小松原 俊

お勧めCD Treasures
IMPRESSION 彼はよく作曲、テクニック、感情表現全てに優れたギタリストであると評されるが、まさにその通り。
メリハリのあるピッキングに、いつか聴いたことのあるような懐かしげな美しいメロディーが郷愁を誘う。彼の代名詞ともいうべきアーヴィンソモギとの相性も素晴らしい。

彼はもうベテランの部類に入るだろうが、オリジナルアルバムはまだ3枚と寡作である。しかし、彼の作品は全て一曲入魂であり数年に一枚程度しか作成できないのも頷ける。

そんな3枚のCDからセレクトしたのがこのアルバムである。前3作がインディーズであったのに対し、このアルバムは彼のメジャーデビューアルバムでもある。

名曲の「くじら」や彼のライブでは必ず演奏するという「Love Song」、全編ライトハンドタッピングを駆使した「Voyager」など珠玉の作品を揃えている。
彼の真骨頂は抑揚をつけたバラードにあるとは思うが、個人的にはこのアルバム唯一の新作であり、かの9.11での事件からインスパイアされて作ったという「Fragile」が好きだ。
彼は曲名とメロディーのギャップのないアーティストなどとも呼ばれるが、この曲も9.11にどきどきしながら、テレビに見入った時のことが思い出されるような傑作である。

もっとも、このアルバムを手にしたものはギターの作品というよりヒーリングミュージックなどと感じてしまう方もいるかもしれない。
そういう意味で、次回作品ではもっと荒れた部分も見せて欲しい。もともとたくさんの引き出しを持ったギタリストだから。

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