NO86 ミュリエル・アンダーソン

CD Harp Guitar Christmas
IMPRESSION アコギの世界では女性自体が非常に珍しいが、このサイトでも紹介はカーキ・キングについで二人目ということに。

かのチェット・アトキンスに直接師事しており、なんでも内弟子のような形で生活していた時期もあったとか。全米フィンガーピッキングコンテストでの優勝経験もある。
日本にも何度か来日しているし、ギター雑誌に連載があったりするのでこの世界では有名になっている。

アメリカではギターのイベントで代表を務めたりしているとのことで、人格的にも優れているのだとも。

さておき、彼女は主にクラッシックギターを使用し、そのテクニックの基礎もクラッシックにあると思われるが、それにチェットの弟子だっただけに、ポピュラーギターの奏法だってできてしまう。

その彼女の作品を紹介となればやや悩んでしまう。全部を聴いているわけではないが、ライブ録音やデュエット作品などいわゆる企画モノが多いからだ。

個人的には企画モノは嫌いではないが、彼女にはアコギでのソロ作品ももう少しリリースしてもらいたいところだ。

というわけで、今回は時期的なものもあり、標題の作品を選んでみた。
ハープギターという普通のギターの上部にベース弦が付加された変形ダブルネックのような不思議な形をしたギターを主に使ったクリスマスアルバムだ。

一見すると、ハープギターを使っているだけに低音のレンジの広がりが目に付くところだが、それ以外はまるでクラッシックギタリストの作品のようだ。しっかりアポヤンドとアルアレイが使い分けられていて、右手のコントロールは素晴らしい。

クラッシックギターはアコギに比べテンションが弱いのでクラッシックを学んでいないとどうしても音が荒れてしまうのだが、さすがに美しい音を奏でている。楽曲の美しさもあって静かで落ち着いた優しい雰囲気に溢れた作品となっている。

むろんよく聴けばベースラインやボイシングなどポピュラーミュージックならではの箇所もありクラッシック作品とは一線を画すところもあるわけだが、例えば「グリーンスリーブス」のようにトレモロを使い、ちょっと「アルファンブラ宮殿の思い出」を彷彿させるベースランがあったりと随所に面白いアレンジが施されている。

テクニックどうのというものではないし、彼女の代表作とはいえないだろうが、ともかくクリスマスを自宅で静かに過ごそうといった向きにはBGMとしてはまってしまうこと請け合いだ。

この時期にしか聴くこともないのだろうが、私にとっては本なら「クリスマスキャロル」、CDならこの作品といった位置付けになっており、大量のCDが並ぶラックの中でも大切な作品の一つとなっている。聴いていると少しだけ優しい気持ちになれるような気がするから。
(09.12.20)

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