NO79 沖 仁

CD Respeto 〜十指一魂〜
IMPRESSION 14歳からエレキギターを始め、その後クラッシック転向、カナダに留学までしたが、フラメンコと出会い、そのままスペインに向かってしまう。
スペインでは何のコネもなかったにも拘わらず、スペイン、フラメンコ界の巨匠、セラニートに師事。

とてつもない行動力と、激烈なまでのフラメンコに対するのめり込み様である。これまで日本にはフラメンコギターのソリストというのは私は寡聞にしてしらなかったので、彼の存在はこの上なく喜ばしいことである。

彼はある意味で、私の常識をある意味覆した人である。日本人でこんなに本格的なフラメンコが伴奏楽器としてでなく、ソリストとして演奏できるというのは信じがたい。外国人が演歌を歌い、ヒットを飛ばすことを考えれば、日本人が、スペインの伝統音楽を習得することも不可能ではないだろうが、私にとってのインパクトは半端じゃなかった。

それにしても彼のテクニックには驚かされる。そもそもクラッシックやフラメンコは遅くとも中学生になる前に始めてないと習得はなかなか難しいのだと思っていた。特にフラメンコでは当たり前に出てくるシングルノートの早いフレーズは大きくなってからでは練習してもなかなかできないはずだと思っていたが。

一言でいってしまえば、彼は天才だなと思う。確かにその童顔、落ち着いた語り口に似合わないほどの情熱をもって、気の遠くなるような時間ギターと共にしてきたことは想像に難くない。が、だからといってなかなかこのレベルに到達できるものではない。

更に彼はプロとして活躍している今でもスペインのフラメンコのコンクールに出場したりもしている。
そして本場スペインの格式あるコンテストで何とセミファイナルまで進んでいる。(彼の技術をしてもファイナルまで進めないほど本場のレベルは高い!)

ここで紹介する上記アルバムでは’07に出場したコンテストの模様が付属のDVDに収められている。
無論スペインではテクニック的に優れたギタリストはたくさんいるのだろうが、彼らと堂々と渡り合う姿は是非この作品で目にしてもらいたい。

とはいえ、私たちが普段手にすることができるスペインの達人達の作品と比べ足りないものもある。民族音楽の持つ土臭さや深さ、そして技術も。

もちろん現代フラメンコは伝統的なものとは形を変えてきてはおり、そこに沖仁の居場所があると思う。技術も深さも今後、更に高まってくることであろう。

ただ、いつも思うのはメジャーレベルでの活躍は世に膾炙せしめるには圧倒的に有利だが、どうしても多作にならざるを得ず、それがアーティストの寿命を縮めているような気がするのだ。むろん、寡作ならいい作品ができるといったものでもないが、年1作はインストではいかにも多い。
上記作品でも既にその影響がでてるような・・・。

ライブ、カバー、ベスト、競演作品などお決まりのコースでお茶を濁して欲しくないのだ。まあこれは会社の都合とかもあるので仕方ないことだし、嫌なら手にしなければいいだけのことだが。

話は逸れたが、要は時間をかけてでも納得のできるいい作品を作って欲しいと願っているのだ。ともかくこれからも彼の活躍には目が離せない。そして、できうることなら、彼に触発された者がまた現れたりすればこの上なく嬉しいことだ。
(09.03.01)

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