第十一回 ライブレポート  伍々 慧


2004年モリダイラフィンガーピッキングコンテストを制した時はまだ15歳だった彼も今は20才に、伸び盛りの4年間を経て、彼がどのように成長したかを是非見たいと思っていました。

この4年の間にミニアルバムを2枚リリースし、佐藤竹善やチャゲ&飛鳥など著名なアーティストたちともコラボレートしたりと、目覚しい活躍をしていますし、古川忠義からクラッシックギターを師事したりと技術向上にも余念がありません。(ちなみに佐藤竹善は私が古今東西で一番リスペクトしているアーティストです)

初めて彼の音楽に接した時の印象は当時師事していた岸部眞明の影響を多分に受け、いかにも成長途上といったイメージでしたが、果たしてこの若きギタリストがどのように変貌をとげたのか、単にギターソロライブという以上の興味をかき立てられます。

ということで、伍々慧のライブですが、会場は神戸市郊外にある小さなライブハウス。会場に到着したら、客席後方に座り、ギターを爪弾きながら、開始に備えていました。さすがに話し掛ける雰囲気ではありませんでしたが、耳を澄ませて聴いているとどうやら有線でかかっていたジャズにあわせて即興で伴奏したり、オブリガードを入れたりしているようでした。もうそれだけでも凄いですね。こんなことできればギター楽しいでしょうね。私にとっては夢です。

演奏の方ですが、フォームは右手は弦に対して垂直に構えるクラッシックのフォームで、左手の方は長くてやわらかい指を生かして普通の人は使わないような、というか使えないような押さえ方がルーティンになっているようです。それにしても動きが両方の手がやわらかくスムーズ。理想的なフォームです。このフォームが速いパッセージを可能にしています。

正直言うと彼が2004年にコンテストで優勝したとき、私の中では少し疑問を感じていた。でも今回のライブを見て、はっきり言える。テクニックも音楽性もコンテストのチャンプにふさわしいと。まだこれからどんどんと伸びていくでしょうが、今地点で既に日本でトップレベルの技術を有しているといって過言ではないでしょう。本当上手いです。

当然のことながら、音楽の方も進化していて、岸部眞明からの影響も薄れて、自分の個性が輝きだしているといったところでしょうか。方向性としてはどっちかというとドン・ロスとかに近いイメージでしょうか。親指を低音弦に叩きつけながらグルーブを出して、フィンガーピッキングにストロークやタッピングを混ぜていくという曲が多く、とても小気味よく、ともするとリリカル一辺倒になりがちなところ、年齢にふさわしい明るく疾走感のある音楽で好感が持てます。

今回演奏した曲は彼がこれまでにリリースした2枚のミニアルバムと新曲と1/3づつくらい。今まではあえて避けてたと言うカバー曲というラインナップ。MCは雄弁じゃないけど関西人らしいユーモアで会場を沸かせていました。
独特の間と、小さなライブハウスながら若い女性からの黄色い声援などもあってとてもアットホームな雰囲気に包まれていました。

ただ、一緒に行った人(ギターのことはあまり知らない人です)の感想は凄く上手くて、楽しいライブだったけど、曲がよく分からなかったとのこと。特殊奏法が多かったせいでしょうが、確かにそういう部分は否定できないなと感じたのも事実。

今回のライブでギタリストより作曲家志望であると彼自身が語っていましたが、まさにそのあたりが課題と言えます。タッビングなどの特殊奏法を使うと曲が見えづらくなるという欠点もあります。
それと確かに終わってから思い出せる曲がないなと。
まあ先はまだ長いので、これから是非そういった印象に残る曲をどんどん作って欲しいなと思います。
今後の活躍に目が離せない伍々慧さんでありますが、また5年後くらいには完成形に近い形がが見られると思いますので楽しみにしたいですね。
(08.09.20)
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