第六回 ライブレポート  城 直樹


結論から言うと、やっぱり城 直樹は凄かった。

二年前と比べ、そのテクニックやもともと堂々としていたステージングなどに磨きがかかり、凄みすら感じます。
演奏はもはやフィンガースタイルなどという範疇には収まりきらないスタイルです。確かにピックなどは使っていないが、弦を弾くというよりギターを叩く、そしてそれがしっかり音楽として成り立っている、そんな感じです。
弦を押さえる指も両手ともネックの下から上から変幻自在。
とにかく最初から最後までタッピングとヒッティングの嵐です。

その叩き方も、ギターのいたるところを、弦も表板、側板、裏板にネックのいたるところ、こぶしや指、手のひらなどをやはりいたるところを使って叩きまくる。そしてカーペットを敷いただけの小さなステージを所狭しと動き回る。
長く伸ばした髪に軽いパーマをかけ、茶色に着色した髪を振り乱しながらの演奏は鬼気迫るものがあります。

曲目は新作「サテライト」から「ファンタジスタ」と「ネバー」、彼には珍しいカバー曲「ルパン三世のテーマ」、新曲一曲とファーストアルバムから私の大好きな「マタドール」の5曲の約30分。
路上ライブということで多分目を弾き易い曲の選曲だったと思いますが、どれも彼らしいスピーディーなアレンジ曲ごとに相当動き回るので曲間のMCではかなり息を切らしていました。

例によって演奏の解説なども行っていましたが、それを聴いたところで、また弾いている姿を見たところで彼のテクニックは容易に理解できるものではありません。それほど複雑で動きが速いのです。

最後の「マタドール」を演奏した時は弦が切れてしまったのですが(多分1弦だと思う)お構いなしに引き続け、しかもなんら違和感なく弾ききるところなど凄いを超えて不思議としか言いようがありません。

ちなみに当日彼が使っていたギターは「スピカクルー」というギターで、楽器屋さんに行けば多分一万円でお釣がくるくらいのギターだと思います。これはちょっと驚きなのですが、あれだけ激しくギターを叩くので高価なギターは使いにくいのではないでしょうか。たたき方が腕の方が壊れてしまうのではないかと思えるほど強烈ですからこれは仕方ないですね。
彼と同じ叩き系と言われるギタリストの谷本 光も同じ理由でライブでは安価なギターを使っているそうです。

あまり鳴らないといわれるギターでもライブでは十分使用に耐えるというのはマグネティックピックアップのおかげというのはあるでしょうが、彼らのような奏法では特にライブなどではどんなギターを使おうとそれ程大きな違いというのは出ないのかもしれません。
実際聴いている分にはいい音がしていました。
やはり腕ですか^^;)。

さて、超絶テクニックを惜しげもなく見せる彼ですが、今後更に成長し、メジャーでの活躍も期待できるのではないでしょうか。
ライブが始まる頃にはせいぜい10人ほどしかいなかったのですが、ライブが終了する頃には人だかりができるほどになっていましたから。
聴衆のほとんどはギターに何の縁もない人たちばかりだったと思います。そんな人たちも惹きつけるかれのパフォーマンスはきっともっと多くの人から支持される可能性があると思います。

最後になりますが、エレキギターを抱えたギター少年が驚愕のプレイに目を丸くし、ライブ終了後CDを求めに城のもとに駆け寄っていたのが印象的でした。
(18.10.22)

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