ヤマハギター試奏

楽器店での試奏は時々行ってきましたが、今のところ購入の予定がないため、高額モデルの試奏は気が引けてしまうのですが、今回吉川忠英さんのライブとタイアップの形で行われたヤマハの試奏会に参加できたので、遠慮なくいくつかのモデルを試してみました。

ヤマハは最近出したAREという技術(木を人工的に経年変化させる技術だそうです。)が気になっていたのでとてもいい機会だなと思っていました。
たくさんの試奏をしてきて思うのは短い時間、家とは違う環境で弾いても音の良し悪し等なかなかよく分からないなというのは自分の中にあるわけですが、興味あるモデルや今まで経験のない高額のハイエンドモデルが試奏できるとあってちょっとテンションが上がりました。

さて、まず試したのはLS26、LS36各9ARE処理が施されたもの。両者はの違いは外見はかなり違って見えますが、(36の方が豪華に見えます)材の違いもあるかもしれません。前者が29万円、後者は36万円ということです。現行D−28と同じクラスといえます。

まずコードを押さえジャラーンと鳴らし、その後簡単なアルペジオ、低音から高音まで単音を強めに鳴らしてみます。その後曲を少し弾いてみるという感じで弾いてみますが、これがAREを施した枯れた音と言うやつなのかなと思うとやや不思議な感じがします。私にはむしろみずみずしい音のように感じたからです。
人工的にいわば、強制的に経年変化が生じさせたようにするということは、逆にいえば、これからの伸びしろが少ないのではと思うと、もう少しガンガン鳴ってもいいかなと思ったりもします。
本当に使い込んだギターと同様に材が変化して、それが音に反映しているのなら、ヴィンテージギターというのは歴史的価値しか持たなくなってしまう可能性も・・・。
しかもこのAREという技術はほとんどお金がかからないそうなので、この技術を生かせば、経年変化すれば必ず音がよくなるのだとすれば、ローコストでいい音を出せるギターが手に入れられるようになるかもしれません。
「年月が経って音がよくなったよ」というロマンはなくなってしまうかもしれませんが。

但し、今現地点で、同じような価格帯でこれらのモデルが群を抜いているという印象は持てなかったのではありますが、ヤマハらしいローからハイまでバランスよく、よく出来たフォークギターだという風には思いました。

さて、次に弾いてみたのはLS66というモデルです。定価85万円。私がこれまで弾いてきたギターの中ではもちろん最高値になります。担いでみたときはさすがにビビってしまいました。
上記と同じ手順で弾いてきましたが、誰も聞いていない状態であるにも拘わらず、緊張してしまいました。

うん、これが税込み約90万円のギターかと思うとやや拍子抜けしたような、それが第一印象です。確かに前記のモデルよりは音も大きいし、深みもあり、高音は繊細でもありますが、音色自体に前期モデルと大きい違いがないように私には聴こえてしまうのです。
これはやっぱり家で、じっくり何時間も弾いてみないと分からないなと思うと同時に、どこで弾いても明確に違いが分かるほど強烈な音がしない限りこのあたりのクラスのギターには手が出ないなと・・・。

そして最後にLS86を。何と定価150万円也。サイドバックはかのハカランダを使用しています。ハカランダの複雑な模様はみるからに迫力があります。
私はいわばギターオタクでありますが、この値段になるとさすがにちょっと考えてしまいます。普通に生活してれば家以外はたいていのものが買えてしまう金額ですから。

それはともかくかなりびびりつつもEmをジャランと鳴らすと、さすがに音が違います。「カシャーン」と言う風に聴こえました。低音に迫力があります。高音も音量はあるものの繊細そのもの。うん、なるほどこれは鳴っている。
試奏した部屋は私が普段弾いている部屋と比べ圧倒的に広くて、雑音もそれなりに聞こえるようなところでしたが、そのなかで、私の他の人には是非聴こえてくれるなとばかりの、いとも弱々しいピッキングであるにも拘わらず、この音ですから、家で全開で弾くとそれは凄いものになるでしょう。
但し、それを毎日ずっと弾いてられるかというと疑問です。ちょっと疲れてしまうかもしれませんし、小さい傷なんかも気になるかもしれません。小心者の私などはケースにしまいっぱなしになってしまうかもしれません。最初からARE処理を施してもらえば、毎日弾かなくたって大丈夫ですし。

ヤマハはAREという日本製らしい技術を持ちながら、全モデルともノンスキャロップでネックもラミネート構造になっており、耐久性にも十分考慮しているものと思われます。高額なモデルや、ルシアーメイドならたいていブレイシングを削ったり、表板を薄くしたりといったことをするのでしょうが、耐久性のある商品を技術革新により安価で提供しようと言うメーカーとしての良心を感じます。
但し、それが日本の厳しいユーザーに受け入れられるかと言うとこれは別問題。解釈など人によりいかようにもなりますから。

ヤマハのギターはメンテナンスなども含め一生使っていける良心的なギターで長く使い込めばどんどん愛着の増すタイプの楽器だと思います。
このような機会がもてたことは私にとっては素晴らしい経験となりました。
もしまたこのような機会があれば、もっとがんがん鳴らしてみたいなと思います。なんせ私は個人で家で楽しむだけでそれ以上は望んでもいないので、試奏とはいえ、回りは誰も聞いていないとはいえ、人がいるところでギターを弾くと言うのは正月に昔の友達と酒を飲みながらギターを回すときくらいなので、どうも勝手に緊張してしまうので、指が動かなくなってしまいます。
基本的に試奏時、そこそこ弾けるくらいの腕にはなりたいものです。
(08.11.16)

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